このところ乃木坂とひらがなけやきばかりを見ています。
それぞれを見ているとお互いに似ているように思いますが、見比べてみるとひらがなけやきのダンスには切れがあり、乃木坂のダンスにはたおやかさがあるように感じます。どちらかというと私は乃木坂のダンスの方が好きなようです。ただ、漢字を忌避する気持ちがひらがなけやきにひっかかりを作り、それとは別に長く見続けてきた乃木坂は贔屓目に見てしまうということがあるのかもしれません。
王道アイドルはもはや売れないという説が主流なようですが、確かに人間というものの本質について探求するという訓練を受けないで、スマホの小さな画面だけが情報源の若者がアイドルに対して期待するものは、その瞬間に即インパクトを感じるような劇薬的魅力なのだとすると、漢字欅のような一種奇抜な新興宗教の出し物の如き踊りが有効なのでしょう。一方で昔から日本人に伝わる精神的な、どこか時間や距離や速さや加速度だけでは決まらない動きが美しいと感じる者の目には、乃木坂のダンスはそのまま美しいと映ります。どちらかが優れているというのではなく、誰が何を好むかというマーケット戦略の違いということに尽きるのではないでしょうか。だから、インフルエンサーがやれ欅のまねだとか、ひらがなが乃木坂の後継者だとかいうような意見が流布されるのは、マーケット戦略に基づく作品になっていない場合があるということかもしれません。
乃木坂46の6thバースデイライブが全曲披露を止めたという歴史的な出来事について、その意味が今後の乃木坂にどのように現れてくるのかが大変興味深いところです。ことバースデイライブについては、単なる誕生日祝いとは異なり、神前に供えるために厳しく手順が定められた踊りを奉納するという見方を私はずっとしてきたものですから。

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