今回の台風は私の住む地域は少し進路から離れていたために大きな被害はありませんでした。一方、直撃を受けた関東・甲信越、東北では大きな被害が出て、現在もなお多くの方が被災状態にあるようで、一日も早い復旧と今後の作業の安全を祈るばかりです。
さて、この台風による停電を報じた記事がYahooニュースにあり、フジテレビの放送内容を誰かが文字に起こしたものが紹介されています。その一部を研究のために引用します。()内に数字を書いたものは私が説明のために挿入したものですが、それ以外は改行(空行)も含めてそのまま引用しています。
「(1)東京電力のウェブサイトでは、東京電力管内だけでも、午後1時30分現在、停電軒数は15万7,300軒という表示がされている。
(2)赤くなっている場所が停電が多い場所だが、くわしく見ていくと千葉県。
(3)千葉県では、現在9万3,700軒が停電をしている。
(4)南房総市が赤くなっているという状況。
(5)一番停電が多い場所になる。」
この前後にも文章があります。その文章全体を読んでもよく意味がわからないのですが、この部分が最も特徴的なのでこれについて考察します。
まず(1)のパラグラフでは東京電力のウェブサイトを引用しているのに、東京電力以外の情報があるように読める書き方になっており、読者は混乱します。基本的に各電力会社のサイトには自社が管轄する電力系統の停電情報しかなく、他社系統は当該電力会社のウェブサイトに掲載されています。
(2)のパラグラフはその後に存在する(4)と(5)のことを話そうとしているようですがその間にパラグラフ(3)があり、千葉県全体の停電件数を説明しようとしているのかと読者を錯覚させます。読者は我慢しながら読み進めていくと、最後まで読んだ段階で千葉県を更に細分化した区域について、どこの停電が多いのかを説明しようとしていたのだと分かるという仕組みになっています。
なぜこのようなトリッキーな文章構成にするのか、一文毎にパラグラフを分ける必要がどこにあるのか、あまつさえそのパラグラフ間に空白行を設ける必要があるのか、読者は多いに悩んで、結局のところこの文章を読んで時間を無駄にしたことに気づき、非常に残念な気持ちになるのです。
本来なら、「東京電力のウェブサイトの情報によると、東京電力管内では午後1時30分現在、15万7,300軒が停電している。特に千葉県では、現在9万3,700軒が停電しており、管内でも特に停電が集中している。更に詳しくその内訳を見ると、南房総市の停電が非常に多いということが分かる。」と書く(話す)べきなのでしょう。言い回しとしてはもう少し日本語らしくできるように感じますが、原文をなるべく活かすと上記のような文章になりそうです。
記者が日本語ネイティブではないかもしれませんので一概に非難するのは誤りかもしれません。ただ、文章にする段階でより日本語らしく、そして何より情報が正確に伝わるように工夫できたはずです。日本語を取り巻く文化はもう取返しのつかない状況まで来ているように感じます。
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さて、この台風による停電を報じた記事がYahooニュースにあり、フジテレビの放送内容を誰かが文字に起こしたものが紹介されています。その一部を研究のために引用します。()内に数字を書いたものは私が説明のために挿入したものですが、それ以外は改行(空行)も含めてそのまま引用しています。
「(1)東京電力のウェブサイトでは、東京電力管内だけでも、午後1時30分現在、停電軒数は15万7,300軒という表示がされている。
(2)赤くなっている場所が停電が多い場所だが、くわしく見ていくと千葉県。
(3)千葉県では、現在9万3,700軒が停電をしている。
(4)南房総市が赤くなっているという状況。
(5)一番停電が多い場所になる。」
この前後にも文章があります。その文章全体を読んでもよく意味がわからないのですが、この部分が最も特徴的なのでこれについて考察します。
まず(1)のパラグラフでは東京電力のウェブサイトを引用しているのに、東京電力以外の情報があるように読める書き方になっており、読者は混乱します。基本的に各電力会社のサイトには自社が管轄する電力系統の停電情報しかなく、他社系統は当該電力会社のウェブサイトに掲載されています。
(2)のパラグラフはその後に存在する(4)と(5)のことを話そうとしているようですがその間にパラグラフ(3)があり、千葉県全体の停電件数を説明しようとしているのかと読者を錯覚させます。読者は我慢しながら読み進めていくと、最後まで読んだ段階で千葉県を更に細分化した区域について、どこの停電が多いのかを説明しようとしていたのだと分かるという仕組みになっています。
なぜこのようなトリッキーな文章構成にするのか、一文毎にパラグラフを分ける必要がどこにあるのか、あまつさえそのパラグラフ間に空白行を設ける必要があるのか、読者は多いに悩んで、結局のところこの文章を読んで時間を無駄にしたことに気づき、非常に残念な気持ちになるのです。
本来なら、「東京電力のウェブサイトの情報によると、東京電力管内では午後1時30分現在、15万7,300軒が停電している。特に千葉県では、現在9万3,700軒が停電しており、管内でも特に停電が集中している。更に詳しくその内訳を見ると、南房総市の停電が非常に多いということが分かる。」と書く(話す)べきなのでしょう。言い回しとしてはもう少し日本語らしくできるように感じますが、原文をなるべく活かすと上記のような文章になりそうです。
記者が日本語ネイティブではないかもしれませんので一概に非難するのは誤りかもしれません。ただ、文章にする段階でより日本語らしく、そして何より情報が正確に伝わるように工夫できたはずです。日本語を取り巻く文化はもう取返しのつかない状況まで来ているように感じます。
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