在宅勤務で仕事に熱中しすぎと家内に注意されました。余計な邪魔がない分、仕事に集中できますよね。会社だと今の能率の2割くらいしか仕事が捗りません。
さて、今回のコロナではパンデミックを起こす感染症と社会のあり方、それに対応する政府の能力と国民の意識という点で様々な知見を得ることができました。
少なくとも、今の社会態勢ではコロナへの対応力が不足しているということがはっきりしました。日本では法律が整備されていないこともあって、ロックダウンのような強制的な封鎖措置ではなく緊急事態宣言への協力という形ではありましたが、幸いにも第一波は乗り越えられたようです。とは言っても実際にはほぼ強制に近い自粛要請が政府や自治体から出され、多くの企業はそれに従わざるを得なかったという点では、効果的にはロックダウンと変わらないものだったのではないでしょうか。
だからなのかはわかりませんが、自粛要請に対しては補償で報いるべきという何の根拠もない前例ができてしまったように感じます。この帰結として第二波や第三波が来たときにも同じように補償が当然のものとして要求されるようになることが予想されます。
第一波で淘汰される企業や業種は本来淘汰されるべきであり、必要なのはそのような企業や業種の存続ではなく、従業員の生活の継続性であったはずです。ところが、収入が激減した企業には重点を置いて救済措置が行政から行われています。一方で生活が立ち行かなくなった労働者には一律に一人十万円が配賦されることになりました。これは額の大きさから見て1か月程度でもとの職に復することが前提とされている設計です。ところが企業は存続してもアフターコロナの経済活動が旧に復さなければ労働者の再雇用が進まないことが予想されます。企業経営者はたとえコロナ以前の経済規模に戻らなくても必要な程度の事業規模に経営を縮小することにより困ることはありませんし、あるいは戻り需要があればより賃金の安い労働力の雇用により利益水準の回復を図ろうとするはずです。そうすると労働者のいくらかは再雇用されずに失業のまま残されてしまうか、賃金水準が更に下がるかもしれません。また実質的な低賃金労働力としての外国人労働者の更なる導入によって企業は利益の損失分を穴埋めしたいという期待を強くする可能性もあり、今後の行政の施策に大きな影響を持つことが予想されます。
今の制度では、賃金水準の低下は賃金からの税収や年金原資の納入の低下に直結しますので、結局しわ寄せは増税や年金の料率アップか年金額の切り下げとなり、まさにスパイラルダウンです。一時はトリクルダウンが話題に上っていましたが、それとはまったく異なる様相に帰着するのは、現在の延長線上の想定としては一番ありそうな将来の姿です。
もともと富は一部に集中し貧富の格差は拡大するのがこの世の人間社会での一番自然な流れなのでしょうが、一人の大富豪と十人の上級国民と百万人の貧民のような形態にゆっくり自然に落ち着くと、百万人の貧民はまわりを見渡してこれが普通の社会であると誤認するかもしれません。今の若者は消費に執着せず、体験の想像で満足する傾向があるというのは正にこの姿のように思われます。
実際、上のような社会は後進国の普通の姿であり、日本は近世になって急速に先進国として地位を得て比較的貧富の格差が少ない社会がしばらくの間続いた後、この数十年で急速に後進国になっているのが控えめに見ても最も確からしい現状認識なのだと思います。
いや日本にも優れた若者がいて将来は明るいよという意見をお持ちの方もいらっしゃるでしょうが、彼ら彼女たちはこの国の大富豪になれなければ、外国へ行った方が平均的に見て成功者になれる確率が高いので、日本の国力の増強には貢献してくれないでしょう。私が今もし十代の優秀な若者であったら間違いなくそうします。
第二波、第三波への備えは、今すぐに準備しておかなければ間に合いそうにありません。オンラインでできる付加価値の高い業態へ労働者を大きくシフトさせることができなければ、他国に国ごと買われて奴隷になる将来しか見えません。
まあ、紀の善のあんみつが食べられればそれ以上の贅沢は望まないという価値観もありましょうが、紀の善のクリームあんみつはこの文章を書いている時点でホームページのメニューを見ると961円もします。これすら食べられなくなる可能性があったとしたら。

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