ようやく見ました。
控えめに言って、すごく感動しました。そしてたくさん考えさせられる内容でした。私が今書いているのは、お芝居の内容のことであり、これを感じられるということの前提には、お芝居そのものが感情移入できるほどに完成されていたという事実があります。
私は批評の専門家ではありませんから、いろいろご意見はあるかもしれません。しかし、素人の私にはお芝居の中の登場人物がまるで自分ではないかと思えるほど、心にずっしりと重さを感じながら一気に見てしまいました。
飲める水を手に入れるために宇宙飛行機を直さなければならないリンドバーグも、自分を実力以上に見せようとするさなえちゃんも、できる女(私は男ですが)を演じるナオミちゃんも、生きる希望を失いながら働く紀伊国坂さんも、潔癖症(私は感染恐怖症)のマヤさんも、オタクのどれみちゃんも、かまってほしい淋しがりやのバラも、忙しくしていて愛を見失っている王女さまさえも、自分のいろいろな部分の生き写しになっていることに途中から気づき、三期生の演劇だからと実は侮る気持ちを持っていた自分が恥ずかしくなりました。
座長はりりあんということでいいのでしょうか。彼女は三期生曲「僕の衝動」でセンターを務められましたが、微妙な感情に伴う表情の使い分けができることなどから、乃木坂全体のセンター(つまり選抜センター)に持ってくると面白いなと感じました。少し前に書いた覚えがある「新しい乃木坂46」を見せてくれるのではないかと期待したくなります。
また、葉月さんのオタクはやや特徴的なオタクではあるものの、開き直ったように(彼女もまたアイドルのはずですが)極端を演じる姿には感銘を受けました。乃木坂46内の元気系といえば日奈子さんですが、彼女は寸前のところで振り下ろした刀を止めるところがあり、それが彼女の心のストレスになったのではないかと私は考えています。それはいけないことではなく、日奈子さんが持つ本質的な優しさがそうさせてしまうのだと思いますし、だからこそ多くのファンが彼女のことが好きなのです。一方で葉月さんは刀を振り抜くことができる数少ない乃木坂のメンバーだと思います。
実際のところはすべてのメンバーに乃木坂のセンターをしてもらいたいと感じるところです。思い出選抜ではなく、チャンスセンターとしてそういうことができないものでしょうか。時間がかかるでしょうが、私はそれを待つ自信があります。
そんな妄想を喚起させる意味のある観劇でした。共演してくださった役者さんたちも含めて私も心の中でスタンディングオベーションを贈りたいと思います。

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